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味いちもんめ(21)

『藤村』の常連である「社長」は、今日のデザートが葛切と聞いて「実は…」と話し始めた。
「社長」はさる女性社長とお茶を飲んで話すうちに、その言葉遣い、立ち居振る舞い、奥ゆかしさにすっかり魅了されてしまったと語る。
その時のお茶受けに出されていたのが葛切だったという。
この優雅な女性に対して、家の茶の間に寝そべって大判焼きを食べていた女房のガサツさを見て…。
12億円もの契約がかかった大事な接待の場所に『藤村』が選ばれた。
接待の相手は、経営の神様と言われた大谷電機の元・社長の大谷総一郎。
大谷はどんな料亭で接待されても必ずカツ丼を注文するのだという。
この情報を得た熊野は、煮方の伊橋にカツ丼作りを任せる。
責任の重大さを感じた伊橋は、昔『藤村』の立板だったが、現在は定食屋を開いている横川にカツ丼作りのコツを教わりに行くのだが…。
「煮物の味付けがおかしい。
薄すぎる」と、ある客からクレームが来る。
そんなハズはないと興奮気味の伊橋に、熊野はもう少し濃い目の味付けにしろ、と命ずる。
『藤村』の味を守らなければいけないのでは、と不満気な伊橋に、熊野は「『藤村』の味を守ることは大事だが、少し譲歩すればすむことだったら、時には客の側に立つことも大事だ」と諭す。
『藤村』に新しく入った京子。
仲居見習いとして、ベテランの仲居・岩田の指導のもと働いている京子だが、慣れないためか失敗も多い。
下足番をしているときには特に失敗が多く、帰りの客の靴を岩田のように、間違えずに素早く出すことができない。
自信を失いかけ、下足番なんて絶対にイヤ!と、グチをこぼされた伊橋は、自分の京都「登美幸」での経験を話して聞かせる。
小つるの兄弟子にあたる鶴吉が、師匠の円鶴から突然「(今後一年間)都内で落語を語るこたァ、一切許さねぇ!!」という「一年間の江戸払い」の宣告を受けてから一年。
今日の高座がうまくいかなかったら、また「江戸払い」になってしまうのかもしれないと伊橋に相談する小つるは、兄弟子の鶴吉が心配でならない様子。
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